現金出納帳について

ひとり社長なのですが、現金出納帳を作らなくても良いですか?

結論、作らなくても良いです。

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現金出納帳は補助簿と呼ばれ、作成は任意となりますので、必ずしも作成をする必要はありません。
作成をしない大きなメリットとして、「労力がかからない」というのがあります。
きっちり実際の現金残高と帳簿残高を合わせながら、領収書の情報を一枚ずつインプットする作業は、小規模な事業主にとってはそれなりの労力がかかります。
事務作業にかかる労力をなるべく減らし、本業に集中することは重要なことです。

ですが、現金出納帳を作成しないことによるデメリットは当然あります。
最も大きなリスクは、預金通帳から引き出した現金(大きな金額)が何に使われたが分からなくなる可能性があるということです。
今回はできるだけそのリスクを減らすための対応策をピックアップしてみます。
大きな金額を支払うときにはなるべく通帳から振込をし、日頃の細かな支払いもクレジットカード決済にすることで強制的に履歴が残るようになります。
現金を使う頻度が少なく、そして使う額が小さければ、何に使ったか分からなくなった時も、影響を最小限に抑えることができます。
現金を引き出したときには、通帳に用途をメモすることで、その現金を何に使ったか簡単な記録を残すことができます。ただし、書き込めるスペースに限りがありますので、項目が多くなれば列挙するのが難しくなります。
対応策①に繋がりますが、どうしても必要な時だけ現金を使うことで簡単なメモだけで済むようになります。
例えば、「支払った領収書の精算を毎月10日ごとに集計して行う」や、「1日~15日までの現金売上を20日までにまとめて預金通帳へ入金する」など、入出金の集計期間とタイミングを統一して決めておくことが望ましいです。こうすることで預金通帳の入出金情報から、どの期間に支払った(受け取った)分なのかを把握することができ、ズレが生じている箇所を特定することができます。
なお、現金売上と、現金支払いの経費がある場合、差額を入金するのではなく、別々にわけて入出金をしたほうが望ましいです。(経費の合計額を出金し、売上の合計額を入金する。)



ちなみに、「預金通帳から引き出した現金(大きな金額)が何に使われたが分からなくなる」ことがなぜ問題になるかというと、2点あります。

1. 経費の計上漏れが起きる可能性が高くなる。
2. 社長への貸付金が増える。


預金から引き出した現金の金額の分だけ、領収書があれば問題はありません。ですが、領収書の金額に対して、引き出したお金の金額が多いと、社長のポケットマネーに入ったと処理せざるを得ず、会社から社長への貸付金として帳簿上に残高が残ります。
このとき、領収書の紛失が起きたのか、あるいは会計処理の段階で領収書の計上漏れがあったのか、それとも実際に社長のポケットマネーに入ったままなのか、現金の紛失もしくは盗難があったのか、はっきりとわからない状態です。
正しい利益が計算できないだけでなく、社長個人から会社にお金を入れる必要がでてきます。
現金出納帳を作成しないのであれば、上に挙げた対応策などをもって、このような問題が起きないよう予防する必要があると思います。

(スタッフ 有木)

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